2024年の大きなうねりの中で

穏やかな日々のありがたさを噛みしめる。


日曜の夜。

夫がグラタンを作ってくれた。

(日曜は私が仕事なので

夫が在宅のときは作ってくれている)

なんと我が家でグラタンを作ったのは

今夜が初めてだった。

天袋のような台所の棚に確かあったはず、

と、ガラス製のグラタン皿を出してくれた。

「ウインナー、食べた?」

午後の仕事前に下ごしらえしておいた

野菜たちも、美味しくグリルされていたが

夫が加えたウインナーは

会心の焼き上がりだったようだ。

 

「まだ、あと二回は作れそうだよ」

夫の得意料理、確定らしい。 


なぜだろう。

グラタンを作りたいとも

食べたいともおもわなかったのは。


出来ることは、自分でやる

という、自立した夫。 

トラブルからのリカバリも

普段なら一人で乗り切れる。

だけど

年明け早々の一件は

沢山の人のお世話にならなければ

乗り越えられなかった。 


転職を2月に控えていた矢先、

年末年始休暇の終わりに雪山で骨折した。

日帰り旅行で鎌倉にいた私は

ちょうど鶴岡八幡宮での特別祈祷に

参加するところだったのだが、

能登の震災復興に加えて

夫の無事の帰還を神楽殿の祭壇から祈念した。

その願いが聞き入れられたおかげか

(願いとは誓いであるのだが)

夫は現在、

私にグラタンを振る舞える程回復している。


奇跡的な回復への軌跡を、

記録として記しておこう。


1/6 スキーで転倒、会津から関東へ

自力で最寄り駅に戻って夜間外来に駆け込む

(宿泊先の方が駅まで1時間の距離を

車で送ってくれた)

夜間、整形外科医のいる病院で検査を受け、骨折判明

1/9 整形外科受診(紹介状持参)

奇跡的に専門医の診断を受け、手術確定

1/10 入院

(フロアスタッフが偶然妻の知人でホッとする)

1/12  手術

(3時間の金属インプラント手術成功)

1/19 退院

1/22 初出勤で職場復帰

サポーターで腕を固定しながら通勤


週に3日(月木土)のリハビリを受ける

(回復までは最低半年継続予定)

1/26 腕の固定(三角巾)サポーター解除

(出勤時にサポーター着用し忘れるほど回復)


入院先での夫とのやり取りの中で、

健康的な食事が話題となり、

電子レンジを新調したこともあって、

さっそく新しいオーブンレンジで

グラタンを作るに至ったのだった。


回復傾向であるとはいえ、

腕を肩まで上げるにはまだまだ時間がかかる。

体内に金属プレートがある感覚や

寒さで傷口がうずく感覚にも

慣れていくには時間を要するだろう。



骨折は

修復から回復へ。

リハビリ生活こそ

夫の戦いの日々だ。

次に夫の作るグラタンを食べるとき、

腕がどこまで回復しているだろう。

痛みを堪えながら

椅子に座って体を前傾させ、

リハビリで教わった

腕を床につけるトレーニングを

風呂上がりに実践していた。


1/29の夜。

夫の学生時代の友人から連絡があり、

互いの近況と共に自身の骨折の話をする

夫は笑顔で声も明るかった。

事故から3週間が過ぎていた。

この笑顔がみられてよかった。



寝る前、

何故か顔をクシャクシャにして

泣き顔で寝室に向かった夫。

入院中に19歳で虹の橋を渡っていった

保護猫パンダとその仲間について

写真本を作ったのを読んで泣いていた。


もう、あの場所には

猫たちは居ないんだね…


夫の骨折と

愛猫との別れ。

私も喪失感が大きい。

ホッとした気持ちとともに

夫婦で猫の話をして泣いた。




笑って泣いて

忙しい日常。

誰かのことを思えるって

何より素敵なことだよね。

何かを失ったとしても

その心だけは無くさないように。



また、

グラタン作ってね。

(カブを入れるのがおすすめです)


via SLOW DOWN LIFE
Your own website,
Ameba Ownd