日の入りが
少し早まったせいか
気づくと月が登っている。


酷暑が続く日々。
ベランダに差し込む朝陽は
顔をしかめたくなるほど熱い。
移動だけでジリジリと
体が焼かれるように熱くなる。
出かけるのを躊躇いながら
気合を入れて暑さに挑む。


連日の暑さの疲れからか、
夜から朝にかけて
鉛のように体が重くなる。
どうにか体を動かそうと
ストレッチや体操で
血流と心拍数を上げる。


テレビを消して
静寂の中にいる。


正確には
生活音の中にいる。



クーラーや扇風機から
空気の動く音がする。
窓の外から
小さく聞こえるのは蝉の声。
路面を走るタイヤの音。


外に出れば
車の音に紛れサイレンも時折聞こえる。
並木道では風に揺れる木の葉の音。


今朝は酷暑で
マイカーを使って動いた。
カーラジオから
フニクリ・フニクラが聞こえてきた。
言葉が意味をなさない感じがいい。
歌詞のない音楽が心地よい。


地球はどれだけ熱くなるのだろう。
我々はどこまで耐えられるのだろう。


昼休みを自宅で過ごす。
乾燥機の回る音。
クーラーの送風の音。
深く息を吸い込む
自分の生きる音。


保冷剤を首とおでこに巻いて
灼熱の通勤路を行く。


職場は新たな自宅待機者が出た。
一週間もすれば復員するので
抜けた穴を淡々とカバーし合う。
無理はしない。
無理をしても良いことはない。


いつか私も
発熱して自宅療養になるだろうか。
せめて軽症で寛解し、
療養期間を自宅の掃除に充てられたら
少しはホッとできるかもしれない。


普通に働けることは
ありがたいことだけど、
思いもよらぬ出来事が
連続して起きる喧騒の中で、
心の静寂を日々求めている。


定時を過ぎて
夕陽が沈んだあとに浮かんだのは
下弦の月。


ああ、
時も季節も移りゆく。
それだけは間違いない。




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